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    かけはし2021年3月1日号

学ぶべき教訓が5点ある


英国

全国教育労組の決起と政府の動揺

デイブ・ケラウェイ

 1月4日、ボリス・ジョンソンは、新「英国変異種」による猛威をふるう新型コロナウィルス感染を考慮して、即効的効果をもつイングランドの新たな全域的ロックダウンを公表した(注1)。似たような方策がスコットランド、ウェールズ、北アイルランドで実施されているが、そこではそのような決定は、権限を移譲された行政府(スコットランド政府、ウェールズ政府、北アイルランド執行機関)の責任になっている。(IV編集部)
1.勤労民衆は新型コロナウィルスパンデミックに集団的に介入し、違いをもたらすことができる。
 学校が再開することになっていたまさに1日前まで、ジョンソンは、学校は安全、と言っていた。その1日後、7万から10万人が参加した史上最大のオンライン労組集会の後、われわれは、スターマー〔労働党現党首〕が全域的ロックダウンを求めるために彼の方針を動かすのを見た。次いでジョンソンが、まさにもう一つのUターンを実行し、6週間この国を閉鎖した。まさにこれは、教員の行動が政府を強制し、パンデミックの間に後退させた2回目、あるいは3回目になっている。

2.スターマーはそれほど既成法秩序尊重でも強くもない。
スターマー指導部は、労働党やメディア内の彼の応援団が主張してきた程には、強くも既成法秩序尊重でもないことをさらすことになった。彼がジョンソンに全域的ロックダウンの導入を呼びかけたのは、全国教育労組(NEU)オンライン集会の大衆的な成功の後にすぎない。その時ですら彼は、まさに既成法秩序を尊重する形で、教員たちの決起への直接的言及を慎重に避けた。
彼は一貫して、学校を開け続ける必要に関し、保守党よりもさらに頑固だったのだ。学校は「否応なく閉じることになる」だろう、という彼の言い方は、教員と彼らの組合の具体的な行動を話の筋から消すための一つのたくらみだった。実際、彼が動物園の閉鎖を何らかの種類の学校と同じ地位に則して考えたように見えた時、それは笑うべきものになった。
まさにTVインタビューを見ればよい。学校に関し彼が行うつもりのことにすいての辛辣な質問にもかかわらず、かれはただ、全国的な制限がその可能性をどう広げるかに戻り続けたのだ。彼は、1月4日の小学校再開に関する労働党の立場がどうなるかについて、はっきり言うことを拒絶した。
スターマーは、行動に立ち上がる勤労民衆への支持を、この場合では、政府の支配や本部の方針に従うことを拒否している労働者への支持を渋っている。それは「中間の戦場」を勝ち取ろうという彼の努力を弱めることになる、と彼が考えているからだ。議会に任せることのない、あるいはもっとも穏健な形であっても法秩序に挑戦するような行動は、支持されるべきことではないのだ。
彼が好む枠組みは、労働党の諸政策を「国益」の枠内に置くことであり、管理者的能力に対する評判を確保することだ。保守党は時代のほとんどを通じて常に、その「国益」を自分のものと認めるだろう。そして選挙での勝利をもたらすだろうとのスターマーの期待は、保守党の内部破裂を除けば、確実とはほど遠い。

3.コービン主義の遺産は命脈を保ち、反抗中だ。
これらのできごとは、コービン構想の達成成果が使い尽くされたと言うにはほど遠い、ということを示している。NEU指導部には親コービン支持者の強力な隊列が含まれている。教員たちへの支持を労働党に求めたコービン左派が組織した1文書は、諸労組と党を貫いて支持を集めた。教員たちと学生たちは、ジェレミー・コービンに対する無数かつ熱心な支持者の一部だった。彼は、教員への支持呼びかけでは傑出していた。そしてキャンペーンのプラットフォームで発言もした。
スターマーにもっと強い立場をとるよう圧力をかけることは、スターマーの魔女狩りと彼の有名な10の「継続」誓約の放棄、に反対する組織化を継続中の労働党内活動家を、士気阻喪させるというよりもむしろ鼓舞するだろう。

4.どの労働者階級か?
起きつつあることをよく見ることが、労働者階級のあらゆる狭い定義に、つまりそれをいわゆる「赤い壁」のブレグジットに投票した工業の(多くの場合元工業の)労働者階級に限定する定義に、裂け目を入れる。「ブルーカラー労働党」支持者、あるいはパウル・エムベリーのような左翼ブレグジット支持者が論じるように、あなたは、「民族主義」に関し、またいわゆる伝統的な家族の価値に関し、先のグループに譲歩するのだろうか? それともあなたは、投票先を変えた労働党ブレグジット派を進歩的な政治に取り戻すために、教員のような進歩的な決起を起点に、外に向かって党の建設を行うのだろうか? 赤い壁の選挙区における教員たちの行動は、政府が勤労民衆の健康をどれほど気にかけていないかを暴き出し、保守党に投票先を変えた労働党支持者に前向きな影響を及ぼすだろう。
いくつかの世論調査は早くも、それらの地域で保守党が支持を失いつつあることを今示唆している。これらのところで労働党支持者の少数派を勝ち取る目的で進歩的な政策を放棄することは、無節操なだけではなく、必ずしも勝利につながる定式でもない。そのような「ブルーカラー労働党」路線は、政府に反対して今日決起中の教員や学生の中で支持を失うことになるだろう。

5.強力な指導部と行動が労働組合を作り上げる。
NEUはこの2、3週間で、1万6000人の新組合員を獲得した。それは、昨年政府への対決として採った強い路線の一つの結果として、早くも成長を遂げた。まさにRMT(鉄道・海事・運輸労組)、鉄道・地下鉄労働者組合と同様に、職場闘争とキャンペーンに取り組むことが、法的なサービスや「個人的」サービスの提供ではなし得ないやり方で支持を積み上げているのだ。
元左派NUT(全国教員労組)指導部が、NEUを形成するために正しくも小さな労組との団結に向け圧力をかけた。そしてそれは、その活動家を組織するために、オンラインの手法を創造的に活用してきた。ズーム上でのこれらの全国的諸会合はパンデミックがもたらした一つの結果であったのかもしれないが、しかしNEUはそれらを、他の誰よりも効果的に活用してきた。その上でその指導者たちは、教員たちを支援してきたキャンペーンのフォーラムで歓迎され、発言もしてきた。
そうしたキャンペーンは労働党内外の左派活動家によって始められた。オンライン会合は、ボスたちに、今度の場合は政府に、現場での支持の印をリアルタイムで示している。これは部分的に、スターマーとジョンソンがまさに急いで彼らの立場を動かさざるを得なかった理由を説明している。オンライン会合にちょっと立ち寄り、それがどれほど魅惑的かを知ることは、元気の元になっていた。教員たちは、行動に関連する質問を文字通り何百と提起し、それらにはプラットフォームの発言者か他の人々からチャットで回答が与えられた。パンデミックが終わりを迎えても、オンラインでの組織化というこの形態は確実に続くだろう。(「アンティカピタリスト・レジスタンス」より)

▼筆者は、第4インターナショナルと協力しているソーシャリスト・レジスタンスの支持者。
(注1)スカイニュース、2021年1月4日、「COVID―19:ボリス・ジョンソン、イングランドに対し2月半ばまで続くと見られる新たな全国ロックダウンを公表」。(「インターナショナルビューポイント」2021年1月号)



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